2008年6月10日

08/06/10

おとといのこと



昨日からずっと、おとといのことをふとした時に考えていた。陸送屋のラリーおじさんと会ったこと。調整によってエンジンが動き、車が走るということ。

デスビの清掃、ポイントを新品にして、プラグのかぶりを除去し、キャブを調整することで車は安定して動きだす。エンジンの見た目はなにも変わらないし、それぞれの部品と構成も同じ。でもすんなり動く。そのとき僕は、福野礼一郎の「車には3万点もの部品がある。~それらがひとつの作動を行うひとつの機械となったとき、あまりにも複雑すぎてそれは生き物のような個性を持つに至る。」っていう文章を思い出していた。これはなぜ車にメーカーの個性があるかという話だったと記憶するから、ちょっと文意とは離れるとは思うけど、車というのは個々の部品がそれぞれ新品になったらそれで良しってわけではなく、すべては複雑に関わり合っていて、ひとつひとつの微細な調整の連鎖によって成り立っているのだとわかった気がした。 当然のことなんですが、素直にすごいと思った。。。




仕事終わって深夜家に着き、VCのプラグを取り出してじっと見てみる。付いているのはNGK-BP6HS。この4本が交互に点火することでエンジンは爆発してピストンを押し下げ、カムを介して軸を回転させる。当たり前だけど、点火しなきゃ動かない。点火が狂ったらうまく回らない。点火はデスビ内ポイントのバネのさきについている接点が離れることでおきて、点火のタイミングはデスビのローターが回転で振り分けている。機構としてはすごく単純、端子が「物理的に回って」付いたり消えたりをやっている。その部分がうまくいかなきゃバンバンいう。キャブレターにしたって、アイドリング、ガスの濃さの設定は、穴に刺した針の深さで設定する。ガソリンは薄すぎず・濃すぎず、それはねじりかたひとつで変わってしまう。どれも当たり前のことですが、機械というものはそういった諸々のバランスの結果動くのだということが、なにかすんなりと理解できた様な気がした。

陸送ラリーおじさんは「最近の車は嫌いだ~。ありゃ車じゃあない。冷蔵庫かなにか電化製品みたいなもんと同じのが多くって。」ってしきりに言っていた。速く走るという単純な目的のために試行錯誤し、調整し、機械がよりよい作動をするように自ら作り上げる。その喜びを知ってしまった人の言葉だなと思う。それに引きかえ、なにも出来ずに陸送屋さん呼んでる私は。。。中央高速の国立府中を降りるあたりで、「今は店も畳んじゃって身ひとつでこういう仕事をしているけど、じつは好きにいじれる車を物色してるんだ。」って言っていた。探しているうちが楽しいって言うのもあるけど、はやく見つけて楽しんでるおじさんを見たいなあと心底思った。

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